セラミック治療
- 2022.03.27
- #治療
今日は問い合わせの多いセラミック治療に関しまして、広くお話しします。
銀歯を白くしたい、変色した被せ物を綺麗にしたい、過去に入れてもらったセラミックの形や色を変えたいなどの再治療の要望から、虫歯の処置後のセラミック治療のご希望など様々、お問い合わせ頂くことがあります。
セラミック治療などの審美歯科治療は前歯に対する治療のイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、奥歯までセラミックをご希望される方々も実は多いのです。
セラミックという素材の特徴、当院のセラミック種類の2点について説明しましょう
そもそも、なぜセラミックでの審美歯科治療の要望が多い、もしくは私達、歯科医療従事者が勧めるのでしょうか?
セラミックの特徴
まず1番注目されるのは見た目でしょう。保険治療の中にも白い被せ物がありますが、白といっても全く見た目が違います。保険の白い被せ物は白ではありますが、透明感の無い作り物感があります。それに対してセラミックは天然組織のような透明感を持ち、作り方によっては色のコントロールにより隣の天然歯と遜色ない見た目を再現できます。素人目には被せ物だとは気づかないでしょう。
次に生体親和性の高さという点です。セラミックは金属を使用しないためアレルギーなどの心配がありません。金属修復物は入れた直後は良いですが、虫歯菌などによりお口の中が酸性に傾いた時に腐食するリスクがあります。溶けた金属が蓄積していくことでアレルギーリスクは高まります。金属アレルギーは遅延型アレルギーに分類され、発症には時間がかかる為、気づかないことも多いでしょう。
口腔内で金属が直接的に症状を発症させるものとしては、接触性の口内炎や扁平苔癬(粘膜が白くなる)などが挙げられますし、口に限らず全身でも、アトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症、リウマチ、肌荒れなど様々な疾患として発現することが、だいぶ前から報告はあがっています。
医療費などの要因なども相まって日本において保険適応範囲として銀歯が認められていますが、生体に入れる素材として良いのか良く考えて頂きたいです。
それからセラミックの特徴としてはずせないのが、清掃性という点です。素材が滑らかな艶があることで、磨き残しによるプラークが付着し難いです。汚れが付着しにくいということは、それに起因する虫歯や歯周病の予防に効果的ということです。
保険の銀歯、白い被せ物は装着当初は問題ないですが、経年劣化とともにプラークの付着は顕著になり、バイオフィルム(細菌の塊)が成熟しやすい環境となります。相当、上手にホームケアができれば話は別ですが、そこまで綺麗に出来る方はそう多くはないでしょう。
清掃性に関しては何も保険の被せ物に限ったことではありません。一時期、非常に流行りのあったハイブリッドセラミックという種類のセラミックに関しては清掃性という点では個人的には疑問を感じます。長期経過したハイブリッドセラミックは表面が荒れ、プラークが付着し易くなっているものを見てきています。これはハイブリッドセラミックがセラミックとレジン(プラスチック)を混ぜたものであるため、削れたり、荒れたりと粗造になってしまうからです。また変色もする点からも果たしてセラミックと呼んでいいものか疑問です。このような点から当院では自由診療のハイブリッドセラミックは承っておりません。
これらのようにセラミックは何も見た目の為だけにお勧めしているわけではないのです。治療をしてからの美しさの持ちだけではなく、セラミックを入れた歯、口腔内組織のこと、口腔に限らず全身を配慮して推奨しているのです。
それでは当院での取り扱いしているセラミックの特徴をご紹介していきます。当院では美しさ、強度、生体親和性、清掃性を考慮してして素材を選んでいます。そういった理由からメタルを使用するセラミック、ハイブリッドセラミックなど一部、取り扱いしていない素材もございますのでご了承下さい。
セラミックの種類
フルジルコニアセラミック
人工ダイヤモンドと言われるほどに強度が優れる素材です。特に奥歯など力が加わり易い部分に選択することが多いです。耐久年数は他の素材に比較すると圧倒的に長いです。非常に硬い為、調整は細やかに行います。
ジルコニアといっても透明感が高いものから、色はマットだが強度の高いもの、グラデーションのあるものと様々な種類があります。3Dプリンターで削り出す前のジルコニアブロックの製作過程によっても質が変わります。
噛み合わせや、色などの特徴次第で歯科医師が選択します。口腔内状態によっては奥歯なので色合いよりも強度を優先することも少なくありません。
ジルコニアセラミック・レイヤリング
先程のジルコニアセラミックの一部に透明感の強いセラミックを築成することで、美しさを再現するセラミックです。隣の天然の歯の色に合わせることも可能です。周りの歯が健康で一本だけ被せ物をする場合には一押しです。
歯科技工士さんが患者さんの歯の個性に合わせて色を再現する作品です。この再現性を高めるために、何度か色合わせをすることもあります。周りの歯、土台の歯の色、全体の歯の色、歯肉の色など様々な情報が美しい仕上がりに影響します。造り手に色の情報を正確に伝えるため、一眼レフカメラで写真情報を記録します。
窓からの天然光や室内の照明の明るさを調整して撮影する場合がございますので御了承下さい。
奥歯にも適応する場合もありますが、レイヤリングした部分は強度が落ちるので、噛み合わせの当たらない見える部分にのみレイヤリングを施す場合が多いです。
ジルコニアセラミック・ステイニング
ステイニングの築成とは異なり、ジルコニアセラミックに染料を染み込ませることで色合いを再現します。レイヤリングほど細かい色調再現はできませんが、複数本まとめて前歯などをセラミックにする場合には十分美しいです。一本だけの場合にも色合いが複雑でなければステイニングでも美しい仕上がりになります。
レイヤリングとステイニングの使い分けは歯科技工士さんと歯科医師の間で審査の下、症例により選択させて頂いております。
e.max
ニケイ酸リチウムガラスセラミックでできており。ガラスのような透明感を持っていることが特徴です。ジルコニアに比べると強度は劣りますが、天然歯のような透明度が美しいセラミックです。単独で前歯に使用すると浮いて見えるので、複数本の前歯やインレーなどの部分的に被せるものなどは得意とする素材です。
単独の場合も部位や、隣の色合い次第では選択する場合もあります。
ここで紹介したものはあくまで当院でお勧めしているものです。他にもハイブリッドセラミックのようなプラスチックとセラミックを掛け合わせたものもあります。こちらは院長の臨床経験上、長期的な経過をした場合にプラーク(磨き残しの汚れ)が停滞しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まったり、変色の傾向があったためデンタルオフィスKでは提供致しません。こういったハイブリッドセラミックも上記で紹介したジルコニア、e-maxといったものと一緒にひとくくりでオールセラミックとだけ説明されている場合があります。セラミックの説明を受ける場合にはその点注意が必要です。
今回はセラミックにフォーカスを当てましたが、審美歯科治療の一部に過ぎません。審美歯科治療は見た目だけでは無く機能して初めて美しいものだと思います。
仕上がりを美しくするには、セラミックなどの被せ物だけでなく、その土台となる歯の条件、歯を支える歯槽骨、歯肉のコントロール、咬合など複数の要件を満たす事で本当の美しさとなります。
またどんなセラミックに限らずどんな被せ物も入った瞬間が1番綺麗です。大切なのはどうメインテナンスして長期間、見た目と機能を維持していくかです。そのためには被せ物をデザインしていく上で長期予後を考慮したプランニングが重要だと感じています。
📍 上越インター前
生体に調和した機能美を目指す予防型歯科医院 》》 デンタルオフィスK
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