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掌蹠膿疱症

  • 2022.12.03
  • #治療

皆さんは掌蹠膿疱症という病気を耳にしたことがありますか?

掌蹠膿疱症とは手や足に小さな水膨れ(膿疱)が繰り返しできる病気です。これらはお口の中の疾患との関連がある場合があります。

掌蹠膿疱症は良くなったり悪くなったりを繰り返す場合があります。この膿疱は病原体は入っていないため直接人に触れても感染することはありません。

症状

手のひら、足の裏に膿疱ができるのが一番の特徴です。

また爪の下に膿疱ができたり、爪の変形、爪の下が盛り上がってきたりする場合があります。

掌蹠膿疱症の合併症としては掌蹠膿疱症性関節炎と呼ばれる関節や骨そのものに炎症が起きて痛みを伴う場合があります。

原因

掌蹠膿疱症の原因は解明されていないものが多いですが以下のようものが悪化因子と言われています。

喫煙

掌蹠膿疱症の罹患している方の80%が喫煙しているというデータがあります。発祥に喫煙がどのように関わっているかは不明ですが、禁煙により症状が軽減したり、治療効果の向上が見られることが多く、密接に関係していると考えられています。

病巣感染(扁桃炎や歯周炎など)

病巣感染とは体のどこかに無症状の慢性炎症が存在するとこれを引き金に別な疾患が誘発されるものを言います。

口腔で多く関わるものだと歯周炎、根尖先歯周炎(歯の根の疾患)といった歯性病巣もその一つです。歯周炎に関して言えば、世界で一番感染者数が多いと2001年のギネスでも認定されるくら有病率が高い疾患で、まだまだ予防歯科の浸透率の低い日本では尚更注意が必要でしょう。

慢性歯周炎はどれだけケアの行き届いてる方でもリスクゼロとはいかず、バイオフィルムが3〜4ヶ月で病原性を持ってくることを考えれば、定期的なプロケアが必須と言えます。

金属アレルギー
 

歯科金属などの金属アレルギーとの関連も指摘されています。しかし、歯科金属除去だけでは良くならない場合には歯性病巣の治療も行わねばならない時もあります。

歯科金属は様々な金属を含む合金で、熱変化、酸性への変化など過酷な口腔環境においては金属が経年劣化し金属イオンの流出によりアレルギーのリスクが高まります。金属アレルギーは遅延型アレルギーとも呼ばれ症状が出現するまで時間はかかり気づきにくいところも厄介なものです。

1番の予防は金属修復物を口腔内に装着しないことです。金属の代わりにセラミック治療を選択する方法もありますが、まずは虫歯を作らないことです。

(※金属アレルギーの診断の場合、保険で白い被せの適応範囲は広くなりますが、保険外診療のセラミックとは素材が異なりますのでご注意ください。)

検査法

ダーモスコピー
 

ダーモスコープという拡大鏡で皮膚表面を観察します。

皮膚生検
 

病変の一部をメスなどで取って顕微鏡で観察します。

血液検査
 

関節炎の炎症の程度や合併症の有無を確認します。関節リウマチとの鑑別にも用います。

歯科検診
 

歯科で歯性病巣の有無を確認します。歯周病など慢性炎症があったとしても症状が無く、自覚症状では気づきにくい場合が多いです。

金属パッチテスト
 

金属アレルギーが疑われる場合に行います。アレルギーの原因と思われる物質を背中や上腕の内側に貼り皮膚反応を判定します。金属アレルギーの診断書がある場合には保険適応となるプラスチック製の被せ物の適応範囲が広くなります。

X線撮影・MRI
 

関節症状がある場合にはX線で骨構造の変化を見たり、MRIで炎症の確認を行います。

真菌検査
 

掌蹠膿疱症に似たような皮膚疾患の一つに白癬があります。鑑別診断のために真菌の有無を確認します。

問診

・喫煙歴の確認。

・治療歴(扁桃炎や歯周炎など)。

・前胸部痛などの関節症状の有無。

・合併症の有無。(下痢や脂質異常症など)
 

掌蹠膿疱症の治療法

悪化因子の除去など

病巣感染の治療
 

扁桃炎、歯周炎、副鼻腔炎、上咽頭炎といった病巣感染が疑われる場合には治療を行います。

禁煙
 

掌蹠膿疱症患者さんの10人に8人は喫煙者で発症ないし悪化因子と考えられています。また病巣感染の一つである歯周炎の悪化因子でもあるため、禁煙は効果的と考えられています。

歯科用金属の除去

歯に装着している金属を除去することで掌蹠膿疱症がよくなる事もあります。ただし金属物の除去だけで改善が見られない場合には併せて歯性病巣の治療を同時に行う場合があります。

薬物療法など

外用療法
 

塗り薬を使用する場合があります。保湿を心がける事も大事です。

光線(紫外線)療法
 

紫外線を病変に当てます。外用療法だけで改善が見られない場合に併用することがあります。

内服療法
 

関節炎などがみられる場合に使用することがあります。

注射療法
 

掌蹠膿疱症は体の免疫システムに関わるサイトカインが関与すると言われています。そのサイトカインの働きを弱める薬剤を使用する場合があります。特定の医療機関(生物学的製剤承認施設)でのみ治療を受けることができます。

掌蹠膿疱症は皮膚科を中心として耳鼻咽喉科、内科、整形外科、リウマチ科、歯科口腔外科と連携して治療を行う場合があります。
 

掌蹠膿疱症の治療に際して、歯科治療、診断が必要な場合にはご相談ください。

掌蹠膿疱症に関する詳しい内容か下記の掌蹠膿疱症ネットをご参照ください。

https://www.kansennet.jp/ppp/




 

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