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金属アレルギーについて

  • 2023.05.16
  • #治療

金属アレルギー

歯科用金属によるアレルギーは、一部の人々が歯科治療や口腔補綴物に使用される金属に対してアレルギー反応を示す状態です。以下に、歯科用金属アレルギーに関する詳細な情報を提供します。

  1. アレルギーのメカニズム:
  2. 歯科用金属アレルギーは免疫系の過剰反応によって引き起こされます。通常、体内に入った異物(アレルゲン)に対して免疫系は防御反応を起こし、特定の免疫細胞がアレルゲンを攻撃する抗体を生成します。しかし、一部の人々は特定の金属に対して過剰な免疫反応を示し、免疫細胞が金属イオンを攻撃する抗体を生成します。この過剰な免疫反応が歯科用金属アレルギーの症状を引き起こす原因となります。
  3. 歯科用金属アレルギーの症状:
    • 口内のかゆみや腫れ
    • 口内炎や赤み
    • 口内粘膜の潰瘍
    • 唇や顔の腫れ
    • かゆみや発疹のある皮膚症状(例: 手首や耳たぶ)
  4. 一般的な金属アレルゲン:
    • ニッケル: 歯科用金属合金の主要成分であり、一番多くのアレルギー反応が報告されています。
    • コバルト: ニッケルと関連してアレルギー反応を引き起こすことがあります。
    • クロム: 歯科用金属合金に存在し、一部の人々にアレルギー反応を引き起こすことがあります。
    • その他の金属: パラジウム、ヒ素、金、銀などもアレルギー反応を引き起こす場合があります。
  5. 歯科用金属アレルギーの診断:
  6. 歯科用金属アレルギーの診断は、アレルギー専門医や皮膚科医によって行われます。一般的な診断方法は以下の通りです。
    • パッチテスト: 皮膚

診断方法の一つであるパッチテストは、歯科用金属アレルギーの特定の金属に対する過敏反応を検出するために使用されます。以下にパッチテストの手順を説明します。

  1. テスト材料の選択: 歯科用金属アレルギーの可能性がある金属に対してテストパッチを選びます。一般的にはニッケル、コバルト、クロムなどが含まれます。
  2. 皮膚への適用: 選んだ金属のテストパッチを、クリアなテープや絆創膏を使用して患者の背中や腕の側面に貼り付けます。通常、複数の金属を同時にテストするために、複数のパッチを使用します。
  3. パッチの装着期間: パッチを貼り付けたまま、通常は48時間程度の期間を待ちます。この間、患者はパッチが湿れないようにし、通常の活動を行います。
  4. パッチの除去と評価: 装着期間終了後、パッチを慎重に除去します。皮膚の反応を評価し、アレルギー反応が起きた場合はその金属に対する過敏反応があると判断されます。
  5. 結果の解釈: 皮膚の反応が評価され、陽性反応(アレルギー反応)または陰性反応(アレルギー反応なし)と判断されます。陽性反応が特定の金属に対して起きた場合、患者はその金属に対する過敏反応を持っている可能性が高いとされます。

パッチテストは、歯科医師や皮膚科医との協力により実施されることが多いです。診断結果に基づいて、適切な歯科材料の選択や代替材料の使用が検討されることになります。

歯科用金属アレルギーを管理するためには、歯科医師と患者の共同作業が重要です。
 

  1. 歯科用金属アレルギーの管理と予防:
  2. a. アレルギー反応の管理方法: アレルギー反応が発生した場合、以下の管理方法が考慮されます。
    • 症状の緩和: ステロイドクリームや抗ヒスタミン薬などの処方により、かゆみや腫れなどの症状を緩和することがあります。
    • 材料の変更: アレルギー反応を引き起こす金属を含まない代替材料への変更が検討されます。例えば、ニッケルフリーの金属合金やセラミックスなどが選択肢として挙げられます。
    • 医療チームとの連携: 歯科医師やアレルギー専門医との継続的なコミュニケーションとフォローアップが重要です。
  3. b. 予防策と代替材料の紹介: 歯科用金属アレルギーを予防するためには以下の点に注意することが重要です。
    • 歯科医との情報共有: アレルギーの既往歴や金属アレルギーの症状について、歯科医に正確な情報を提供しましょう。
    • 材料の選択: 金属アレルギーのリスクが高い場合、ニッケルフリーの金属合金やセラミックスなどの代替材料が使用されることがあります。
    • 事前のテスト: アレルギー反応のリスクがある場合、事前にパッチテストやプルートニウムテストなどを行うことが検討されます。
  4. 現在の保険治療において金属アレルギーの診断が証明できれば、CAD/CAM冠(保険でできる白い被せ物)が広く適応することが認められています。
  5. しかし、CAD/CAM冠の強度、接着、清掃性などの点からお勧めしない場合があります。特に歯列不正(歯並びが悪い)、噛み合わせの力が強い、歯軋りがひどいなんて方は壊れやすいです。また長い経過を辿ると、表面が荒れ、汚れが停滞しやすくなるため歯周病や虫歯のリスクが高まるために予防が難しくなります。
  6. なんでも保険外診療のセラミックにするべきだとは言いませんが、CAD/CAM冠にも、こういったデメリットが存在し、再治療の繰り返しで、かえって経済的・時間的負担があることも事実です。

金属アレルギーの診断により保険治療で金属を避けられることは歯科医師としては喜ばしいことではありますが、あくまで人工物だということを忘れてはなりません。素材の選択はかかりつけ医とよーく相談することをお勧めいたします。



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