糖尿病と歯周病
- 2023.06.12
- #研修セミナー
6月11日に市民プラザにて糖尿病と歯周病の関係についてお話ししてきました。
今回の講演の準備の為、自分自身も知識を確認したり、聴講しにくる方や患者さんにはどのように説明すると分かりやすく伝わるのか...改めて考えることができました。
みながわ内科・糖尿病クリニックの皆川先生、大正製薬株式会社の皆様には貴重な経験をする機会を頂き感謝いたします。
当日、足元の悪い中来場してくださった皆さにも御礼申し上げます。
私が、講演会で話したことをブログでもお伝えしたいと思います。
まず、今回の講演会では糖尿病と歯周病の関係について、両者の特徴や治療方法、予防についてお話ししました。
皆さんは糖尿病と歯周病が関係することを知っていましたか?
歯周病と聞くと口腔内に限局した疾患と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、口腔内で起こる炎症は体全体に悪影響を及ぼします。
反対に、口腔内の環境の良好な方は全身の健康にもつながります。
炎症には、肺炎のように発熱や息苦しさ、酷い咳など日常生活にも支障が出るような大きな炎症もあります。
歯周病の炎症は、歯ぐきの腫れや出血で、歯磨きの際に不快感を感じる程度です。
歯ぐきの周囲に歯石や磨き残しが溜まっているところには、細菌がたくさん住み着いています。
歯周病での炎症は体全体から見ると小さな炎症ではありますが、歯周病菌によって歯周組織に炎症が起こると、『サイトカイン』という悪玉ホルモンが発生します。
サイトカインは、血糖値を下げるただ一つのホルモンであるインスリンの働きを阻害してしまいます。
また、糖尿病治療のための薬やインスリン注射も効きにくい状態になってしまいます。
歯周病やむし歯で歯を抜いたりした場合には噛みにくくなることで、血糖値の急激に上昇しやすい食事に頼りがちになってしまいます。食事療法がうまくいかなければ、糖尿病の治療がうまくいきませんね。
逆に糖尿病が歯周病に対してどのように影響するのか?
まず、血糖値が高い状態にあると免疫力が低下し、感染症にかかりやすい傾向にあるため、歯周病菌の感染も起こりやすいということです。
糖尿病による血管の障害や神経の損傷も歯ぐきの治りを妨げることがあります。それにより歯周病の進行が早まり、重度の歯周炎に移行しやすくなるのです。
また、口渇のある患者さんは口腔内の自浄作用が低下することで、歯周病菌だけでなくむし歯菌も繁殖しやすくなります。
どちらかが悪い状態にあるとどちらも治療効果が得にくい悪循環になりますし、どちらかが良くなるとお互いが改善に向かう好循環になります。
では、歯周病を改善するためにはどうしたら良いのか?
歯周病が発症する原因は、歯周病菌の病原性と歯周組織の抵抗性のバランスが崩れることです。
つまり歯ぐきの抵抗力よりも細菌が悪さをするようになると、歯周病が発症します。
歯周病治療によって、歯石、細菌の集合したバイオフィルムを破壊し細菌の繁殖しにくい環境をつくることで、歯ぐきからの出血を抑えます。
出血した血の中には鉄分が豊富で、鉄分は歯周病菌のエサになり繁殖力を高めます。歯周病菌の栄養源を断つために歯周病治療は有効です。
一度歯周病の炎症が落ち着いても、常在菌である歯周病菌を0にはできませんので、また繁殖してくると炎症を起こしやすくなります。
ご自身のセルフケアが不十分である場合には、特に注意が必要です。歯ぐきの縁に残った細菌の中の歯周病菌は酸素を好まない嫌気性菌で、歯肉縁下(歯ぐきの溝の中)に潜り込んでいきます。
歯ブラシで磨ける範囲は限りがあり、約2〜3mm以上の歯周ポケット内のバイオフィルムには、歯科医院でのプロフェッショナルケアが必須となります。
セルフケアのポイントとしては、何よりも自分に合っている道具を使うということです。
歯ブラシの形や硬さ、歯磨き粉は何に対して効果のあるものか、歯間ブラシの大きさは合っているのか...
自分に合った道具を、正しく使用できている人は意外と少ないように感じます。
ぜひ、歯科医院で自分に合ったものが使えているのか相談してみてください。
歯周病の改善には、いつもより丁寧に磨こうかな、糸ようじや歯間ブラシまで使ってみようかな、など良い習慣を少しづつでも積み重ねていくと良いですね。
糖尿病も歯周病の治療もコツコツ継続して改善、維持していく必要があります。
この二つはお互いを高め合う相性のいい疾患です。
自覚症状の少ないまま発症、進行してしまう厄介な病気です。まずはその予兆がないのか、小さな違和感もそのままにせず、きちんと自分の体を知ることから始めましょう。
そして、全身の他の病気との合併症も問題となります。う蝕(むし歯)や歯周病はメタボリックドミノの上流にあり、放っておくのは非常に危険です。
どの病気にも言えることですが、早期発見・早期治療がQOL(生活の質)を維持、向上させることに繋がるのです。
📍 上越インター前
生体に調和した機能美を目指す予防型歯科医院 》》 デンタルオフィスK
今回の講演の準備の為、自分自身も知識を確認したり、聴講しにくる方や患者さんにはどのように説明すると分かりやすく伝わるのか...改めて考えることができました。
みながわ内科・糖尿病クリニックの皆川先生、大正製薬株式会社の皆様には貴重な経験をする機会を頂き感謝いたします。
当日、足元の悪い中来場してくださった皆さにも御礼申し上げます。
私が、講演会で話したことをブログでもお伝えしたいと思います。
まず、今回の講演会では糖尿病と歯周病の関係について、両者の特徴や治療方法、予防についてお話ししました。
皆さんは糖尿病と歯周病が関係することを知っていましたか?
歯周病と聞くと口腔内に限局した疾患と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、口腔内で起こる炎症は体全体に悪影響を及ぼします。
反対に、口腔内の環境の良好な方は全身の健康にもつながります。
炎症には、肺炎のように発熱や息苦しさ、酷い咳など日常生活にも支障が出るような大きな炎症もあります。
歯周病の炎症は、歯ぐきの腫れや出血で、歯磨きの際に不快感を感じる程度です。
歯ぐきの周囲に歯石や磨き残しが溜まっているところには、細菌がたくさん住み着いています。
歯周病での炎症は体全体から見ると小さな炎症ではありますが、歯周病菌によって歯周組織に炎症が起こると、『サイトカイン』という悪玉ホルモンが発生します。
サイトカインは、血糖値を下げるただ一つのホルモンであるインスリンの働きを阻害してしまいます。
また、糖尿病治療のための薬やインスリン注射も効きにくい状態になってしまいます。
歯周病やむし歯で歯を抜いたりした場合には噛みにくくなることで、血糖値の急激に上昇しやすい食事に頼りがちになってしまいます。食事療法がうまくいかなければ、糖尿病の治療がうまくいきませんね。
逆に糖尿病が歯周病に対してどのように影響するのか?
まず、血糖値が高い状態にあると免疫力が低下し、感染症にかかりやすい傾向にあるため、歯周病菌の感染も起こりやすいということです。
糖尿病による血管の障害や神経の損傷も歯ぐきの治りを妨げることがあります。それにより歯周病の進行が早まり、重度の歯周炎に移行しやすくなるのです。
また、口渇のある患者さんは口腔内の自浄作用が低下することで、歯周病菌だけでなくむし歯菌も繁殖しやすくなります。
どちらかが悪い状態にあるとどちらも治療効果が得にくい悪循環になりますし、どちらかが良くなるとお互いが改善に向かう好循環になります。
では、歯周病を改善するためにはどうしたら良いのか?
歯周病が発症する原因は、歯周病菌の病原性と歯周組織の抵抗性のバランスが崩れることです。
つまり歯ぐきの抵抗力よりも細菌が悪さをするようになると、歯周病が発症します。
歯周病治療によって、歯石、細菌の集合したバイオフィルムを破壊し細菌の繁殖しにくい環境をつくることで、歯ぐきからの出血を抑えます。
出血した血の中には鉄分が豊富で、鉄分は歯周病菌のエサになり繁殖力を高めます。歯周病菌の栄養源を断つために歯周病治療は有効です。
一度歯周病の炎症が落ち着いても、常在菌である歯周病菌を0にはできませんので、また繁殖してくると炎症を起こしやすくなります。
ご自身のセルフケアが不十分である場合には、特に注意が必要です。歯ぐきの縁に残った細菌の中の歯周病菌は酸素を好まない嫌気性菌で、歯肉縁下(歯ぐきの溝の中)に潜り込んでいきます。
歯ブラシで磨ける範囲は限りがあり、約2〜3mm以上の歯周ポケット内のバイオフィルムには、歯科医院でのプロフェッショナルケアが必須となります。
セルフケアのポイントとしては、何よりも自分に合っている道具を使うということです。
歯ブラシの形や硬さ、歯磨き粉は何に対して効果のあるものか、歯間ブラシの大きさは合っているのか...
自分に合った道具を、正しく使用できている人は意外と少ないように感じます。
ぜひ、歯科医院で自分に合ったものが使えているのか相談してみてください。
歯周病の改善には、いつもより丁寧に磨こうかな、糸ようじや歯間ブラシまで使ってみようかな、など良い習慣を少しづつでも積み重ねていくと良いですね。
糖尿病も歯周病の治療もコツコツ継続して改善、維持していく必要があります。
この二つはお互いを高め合う相性のいい疾患です。
自覚症状の少ないまま発症、進行してしまう厄介な病気です。まずはその予兆がないのか、小さな違和感もそのままにせず、きちんと自分の体を知ることから始めましょう。
そして、全身の他の病気との合併症も問題となります。う蝕(むし歯)や歯周病はメタボリックドミノの上流にあり、放っておくのは非常に危険です。
どの病気にも言えることですが、早期発見・早期治療がQOL(生活の質)を維持、向上させることに繋がるのです。
📍 上越インター前
生体に調和した機能美を目指す予防型歯科医院 》》 デンタルオフィスK
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