歯科衛生士 院内ハンズオンセミナー
- 2025.04.20
- #研修セミナー
【院内セミナーレポート】松尾瑠美子先生による歯周治療&インプラント予防ハンズオンセミナーを開催しました
このたび「デンタルオフィスK」では、歯周治療と予防歯科のスペシャリスト・松尾瑠美子先生をお招きし、2日間にわたる院内ハンズオンセミナーを開催しました。
本セミナーでは、最新の歯周病治療、インプラントメンテナンス、患者指導のアプローチに至るまで、臨床に直結する内容が盛りだくさん。ここでは、学んだ内容をまとめてご報告いたします。
講師紹介|松尾 瑠美子(まつお るみこ)先生
歯科衛生士として24年間の臨床経験を持ち、特に歯周病治療およびインプラント周囲炎のケアにおいて豊富な実績を有する専門家。日本臨床歯周病学会・日本口腔インプラント学会の認定歯科衛生士であり、国内外の最新知見をベースに、予防歯科の普及と教育活動を行っている。
2012年にはスウェーデンにてインプラント周囲炎に関する研修を受講。現在は全国で講演・セミナーを行いながら、個々の患者に寄り添う予防中心の歯科医療の普及に尽力されている。
歯周治療と予防の真の意義を再認識
セミナー冒頭では、**「歯周治療の本質は“予防”にある」**という強いメッセージとともに、以下のような重要なテーマをわかりやすく解説いただきました。
- 歯周病の原因であるバイオフィルムと歯石の関係
- 患者ごとの歯ブラシ・歯間ブラシの選び方(特にクラプロックスの有効性)
- 天然歯を残す重要性と、インプラント治療のこれから
「褒めて伸ばす」患者指導とモチベーションアップ
松尾先生の指導で印象的だったのが、患者さんのモチベーション維持に関するアプローチです。
- “怒らない”“責めない”指導で、患者さんが安心して来院できる環境を作る
- プラークやブラッシングの状態を視覚的にフィードバックし、改善が見られたら必ず褒める
- 日々のケアに対して「楽しさ」を感じてもらえる工夫を取り入れる
歯科医院と患者さんとの信頼関係が、良好な治療結果へとつながることを再認識しました。
SRPと外科処置の違い、そしてメンテナンスの本質
歯周基本治療(SRP)と外科的アプローチを前提としている場合のSRPの違いや、キュレットの使い分けに関しても実践的なレクチャーがありました。
深いポケットに対しても外科処置・非外科処置の選択により必要に応じた処置を見極める判断力の重要性も共有されました。
外科処置を望まない方も多いが、状況に応じて歯周組織再生療法やFlap手術を明視野で歯科医師が行うことで、治癒の確実性が高まり、結果や、患者さんの納得感にもつながることを、実際の症例を通じて解説いただきました。
マイクロバイオーム、舌磨き、ホームケア——全身の健康を見据えて
- 歯周病の主原因菌であるPG菌とその影響
- 常在菌やマイクロバイオームの重要性(抗生物質の過剰使用による悪影響も含む)
- 舌磨きの重要性と、クラプロックスブラシの活用
口腔内だけでなく、全身の健康にも直結する知識とケアの重要性を、あらためて学ぶことができました。
セミナーの主な学びとポイント
1. 歯周病とインプラント治療の現状と課題
- 歯周病の原因菌(レッドコンプレックス)やバイオフィルムに関する知識を再確認
- インプラント周囲炎の増加と、天然歯保存への注目
- SRPやデブライドメントの重要性と症例に応じた適切な対応
2. 患者指導とモチベーション管理
- 患者のブラッシング指導における視覚的サポートの活用
- 褒めて伸ばす指導法、楽しい環境づくりによるモチベーション維持
- 歯ブラシ・歯間ブラシの個別適応。特に「クラップロックス」の有効性に言及
3. マイクロビオームと口腔常在菌の理解
- 常在菌のバランスについて
- 出血とPG菌の関係
- プロービング圧の管理方法の見直し
- 舌磨きの重要性と、長期的なメンテナンスへの応用
4. インストゥルメント選びと臨床技術の向上
- SRPと外科的処置の違いと判断基準
- グレイシーキュレットやアメリカンイーグルの使い分け
- ペリオフローやペリオノズルなどの最新ツール活用法
5. 継続的な歯周管理と患者との信頼関係
- 「歯周病治療に終わりはない」という視点での継続ケアの啓発
- インプラントに頼りすぎず、自分の歯を守る意識の醸成
- 動画を活用した説明法や、視覚的な資料を使った理解促進
今回はこれらの講義の他、模型実習、相互実習、実際の患者さんの診療でのレクチャーなど、実践的アドバイス・指導をしていただき一段と当院のレベルを引き上げてもらいました。
意見交換の場では歯科衛生士だけでなく院長自身も知見を広げてもらいました。
最後に
今回のセミナーでは、臨床技術の向上に加え、患者様とのコミュニケーションやモチベーション向上の重要性についても深く学ぶことができました。
デンタルオフィスKでは、今後もより質の高い歯科医療を提供できるよう、スタッフ全員が日々研鑽を重ねてまいります。
ご参加いただいた松尾瑠美子先生に、心より感謝申し上げます。
松尾先生から学んだことを日々の診療へ
今回のセミナーで得た知識と技術を、今後の診療や患者指導にしっかりと活かしてまいります。
また、当院では今後も、より質の高い予防ケアとメンテナンスを提供するため、継続的なスタッフ教育と研修を重ねていきます。
松尾瑠美子先生
—
[経歴]
2000年
青森歯科衛生士専門学校 卒業
2000年
ふくい歯科クリニック 勤務
2001〜2023年
医療法人 夏堀デンタルクリニック 勤務
2022年
iTOPインストラクター
2024年
フリーランス歯科衛生士へ転向
歯科麻酔および救急蘇生講習受講 認定証取得
[所属学会]
・日本口腔インプラント学会 インプラント専門歯科衛生士
・日本臨床歯周病学会 認定歯科衛生士
・日本顎咬合学会 認定歯科衛生士
・スウェーデン イェテボリ大学 歯周病科研修
・iTOPイントロダクトリーコース受講
・iTOPエデュケーターセミナー受講
・多数セミナー受講
・歯科学会 講演
・企業セミナー 講演
・一般社団法人 国際歯科医療協会
歯科麻酔および救急蘇生講習受講 認定証取得
▼松尾瑠美子先生について詳しくはこちら
https://www.dhrumikomatsuo.com
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生体に調和した機能美を目指す予防型歯科医院 》》 デンタルオフィスK
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